読むべし!3
 
★回想連載  あしたのジョー6番勝負★
さすが不朽の名作「あしたのジョー」。連載終了後も回想連載され、その終了が惜しまれた。
その名も「あしたのジョー6番勝負」!
週刊少年マガジン昭和48年22号〜25号の4回にわたり連載された。
内容はというと、 元のコマを生かしつつ、文章を織り交ぜ、絵物語風にそれぞれの試合及び試合までの
ストーリーを紹介。各号には、以下のように名勝負が掲載された。
  • 22号  対ウルフ戦
  • 23号  対力石戦
  • 24号  対カーロス戦
  • 25号  対金竜飛・ハリマオ戦・ホセ戦
 
週刊少年マガジン 昭和48年(1973年)22号

その1 初陣!ウルフ金串戦

ウルフ戦はジョーとウルフのカウンター合戦・また試合前の両陣営の駆け引きが見物なんですが、
印象的なのが、ウルフのダブルクロスカウンターでダウンするジョーを見た力石が、
思わずリングサイドに駆け寄り
「ジョー立て!この力石徹と決着をつけんうちにこのまま消えさる気かー!」
と叫ぶシーンでしょう。
それまでジョーとの対決は意識してたものの、ジョーのやることなすことに
割と冷静な反応をしていたにもかかわらず、
その冷静さをかなぐり捨てて力石流に、ジョーをはげまして(?)しまう。
単に少年院での引き分けに決着をつけるためだけでなく、ジョーをライバルとし、
力石曰く「あの小つぶだがものすごい奴」とリングの上で闘いたい!
という気持ちがそうさせたのでしょう。
 
表紙のおねーちゃんは「佐々木ヨーコ」というローラーゲームの選手。すげーカッコです。 
22号には回想ウルフ戦のみならず、連載第1回の扉からはじまる、
「サヨナラ!!あしたのジョー」
という 特集が掲載されている。名場面で綴られるストーリー紹介、
寺山修司作の詩「さらば、あしたのジョーよ」
事件・社会史とともに振返る5年4ヶ月の
連載年表
さらに、
キャラクター総名鑑
などなど充実した特集です。 連載終了でこんな特集を組むなんて、さすが「あしたのジョー」でございます。 
さらに「インテリアポスター」なる綴じ込みのポスターがついておりまして、その名も
「あしたのジョー 表紙名作選」
その名の通り、ジョーが飾ったマガジン表紙28種を並べたポスター。なかなか見物です。 
ちなみに当時の掲載作品は、 
  • 梶原一騎・ながやす巧「愛と誠」
  • 梶原一騎・つのだじろう「空手バカ一代」
  • 赤塚不二夫「天才バカボン」
  • 石森章太郎「ロボット刑事」 
  • 永井豪「デビルマン」
  • 横山光輝「闇の土鬼」
  • 松本零士「男おいどん」
  • 阿月田伸也・池上遼一「ひとりぼっちのリン」
  • 川内康範・伊東恒久・小島利明「レインボーマン」 
  • 白木卓「ボク3男雪之丞」 
  • 読み切り、川崎のぼる「落語家 百笑亭イモ助」
天才バカボンのこの号のタイトルは、完結記念 特別版 「 あたしのジョー」。 
「バカボンはジョーの役になるのだ」 
「わー!ぼくがあしたのジョー?うれしいジョー!!」 
「わしはトレーラーの段平になるだんべえ」 
などといい、あれこれ笑いをちりばめつつ練習にはげみ、最後にはこのころのレギュラーキャラ(?)の
ノラウマと闘う。これって当然単行本にも入ってるんでしょうね?
 
 
週刊少年マガジン 昭和48年(1973年)23号

その2 壮絶!死の力石戦

二人の出会いから単行本6冊分の期間を経てようやく実現するリング上での対決。
おそらく梶原原作をそのままマンガにしていればもっと早く対決してたことと思うんですが。
というのも、ちば先生のストーリーの運び方がそうさせたのだろうと勝手に想像しております。
このひっぱり方がいいんですけどね。
試合中は徹底して力石の心理描写が描かれていない。
それだけに読者もジョーと同様に力石の胸のうちが読めず、脅えてしまう。
ボクサーとしての実力もさることながら、とことんジョーの心理を読みぬいた力石の作戦に
ジョーも打つ手がなくなる。そんなジョーのやるせない気持ちを読者も同時に味わう。
 
スポーツ表紙シリーズということでジャンボ尾崎です。ジャンボ若い! 
この号には読み切り、水島新司「野球狂の詩 第7弾 乞食打者」掲載。 
あと、「愛と誠」の 
太賀 誠のライバル大募集
なる特別企画! 
読者から「愛がかわいそうだ」「すばらしいボーイフレンドをもたせて!」などの投書が殺到。 
(確かにかなりかわいそう。この号では誠の生活費を稼ごうと愛が喫茶店でバイトをしてるあたりです。) 
「君のためなら死ねる!」の岩清水宏・ラグビー部主将の城山郷介・ボクシング部主将火野将平につづく 
ライバルを考えて愛を奪おう!という内容。 
 
 
 
 
週刊少年マガジン 昭和48年(1973年)24号

その3 甦る闘志!カーロス・リベラ戦

カーロスとの出会いによって、力石の亡霊をようやく振り切るジョー。
それまで、リングの上で力石と対戦することを目標としてきた
(もちろん単にそれだけではあるまいが)。
ジョーにとってボクシングを始めるきっかけとなった力石を失ったことは
ボクシングをやっていく意味を失ったに等しい。
故に、カーロス戦は力石の亡霊を振り切ると同時に、ジョーが本当の意味での『ボクサー』
になったのだといえるのではないでしょうか。
 
この24号から「人気漫画アイドル表紙シリーズ」になる。第1回はご覧の通り「愛と誠」。
この号には読み切り、矢口高雄「幻の大岩魚アカブチ」掲載。
 
 
週刊少年マガジン 昭和48年(1973年)25号

その4 金 竜飛戦、ハリマオ戦、ホセ・メンドーサ戦

金竜飛戦は、TV「あしたのジョー2」をリアルタイム見ていた幼少のわたくしチェーン
にとってかなりの衝撃でした。金戦というよりはジョーの減量シーンなんですがね。
サウナでひっくり返ってるジョーが今でも当時のまま脳裏に焼き付いております。
幼心に「そこまでやるかい!」と思ったものでした。
 
ハリマオはキャラ的には嫌いではないんですが、ジョーが野生を取り戻すためとはいえ、
あまりに野生そのままなもんで、ちょっと「おやおや・・・」と思っております。
葉子がジョーの対戦相手探しの際、白木ジムの幹部達に「力石徹と戦い  そしてリング上で
死にいたらしめたころの矢吹丈のような強烈なタイプ!!」という条件を出しますが、
やってきたハリマオは「強烈なタイプ」のところだけ条件を満たしておるようです。
 
「チャンピオンになりたい」ということではなく「自分より強い奴と戦いたい」と思う
からこそ、葉子の告白を振り切って『世界一の男』ホセの待つリングにあがる。
自分のかたわの体を知ったうえでも戦いを望む不屈のファイティングスピリットに読者は
共感せずにいられない。
「真っ白になるまでやらせてくれや」とジョーは段平に頼む。
人に頭を下げて願いを聞いてもらう、などという態度をまず見せることのないジョーが
そのような態度をとったのは、これからを試合続けることがどういうことになるかを
ジョーは分かっていたから、師である段平には一言ことわった上で・・・という気持ち
があったからに違いない(なんて断言するのもどうかと思いますが・・)。
そのあとジョーは一言もしゃべることなく、試合を続けていく。真っ白になるまで戦うこと
のみに集中するために。
 
人気漫画アイドル表紙シリーズは天才バカボン。
この号には読み切り、白土三平「ベスト忍法劇画D  はごろも  前編」掲載。
わたくし大好き「デビルマン」では美樹が暴徒に背中を切り裂かれ、タレちゃんは首だけに
なっちゃうという衝撃の回。24号で暴徒が飛びかかってくるところで「つづく」になり、
次号はなんとかピンチを切り抜けるだろうと普通なら考えるでしょうから、冒頭からいきなり
切り裂かれるんで当時の読者は「えーーー!!」てな衝撃だったでしょう。
 

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